小百合さんの妹は天使【考察】

 

 百合の咲く季節になりました。

 皆様いかがお過ごしでしょうか。

 今回は伊藤ハチさん作の百合漫画「小百合さんの妹は天使」について考察していきます。(今更)

※この記事はネタバレを多分に含みます。ご注意下さい。

 小百合さんの妹は天使とは

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地味な女の子、小百合さんと

その妹、美琴の尊くも愛おしい姉妹愛を描いた百合作品です。

考察を読んでるということは多分もう読んで頂けてると思うので適当な紹介で済ませました。この目次は要るのか…

尚、「小百合さんの妹は天使」は全4巻で2016年に完結しています。(この記事を書いてるのが2018年なので本当に今更)

 

考察

※この記事ではほぼ答えだろうという考察もありますがおおよそは妄想の域を出ないものです。しかしながら考察の本質はそういう下らないものにこそあると思うんです。

 

なぜ美琴の羽根は男鹿くんにも見えた?

物語序盤から終盤まで謎を残していた美琴ちゃんの天使の羽と輪っか。

最初はただの演出かと思いきや物語にとって重要な要素でした。

この羽は一般人には見えませんが作中においてこれを視認できている人物が2人います。

小百合さんと男鹿くんです。(1巻裏表紙のカバー裏にて輪っかは犬にも見えている模様?)

この羽根は写真にも写りますが写真上でもやはり見えているのはこの二人だけの模様(14話)

美琴ちゃんの姉である小百合さんに見えているのは納得できますよね。美琴ちゃんはお姉さんと会うために天使の姿になって現れたのですから。

それなら男鹿くんは…?

 

 神様のいたずら

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美琴ちゃんはいつまでも自分が天使のままでいられないことを知っていました。それが神様?との約束だったからです。

だから時間切れになって自分がいなくなった後でも小百合さんが大丈夫なように男鹿くんにも羽が見えるようにしていたんです。

ただこれは小百合さんの認識なので正確には神様がしてくれたことだと思います。

美琴ちゃんが神様に言ったのは以下の通り

「お願い あなたにできるなら 私を一年だけでいい

おねえちゃんと 過ごさせてください

私は大好きな おねえちゃんを

このまま ひとりにしたくない (以下略)」

つまり神様は美琴ちゃんを一年だけ小百合さんと過ごさせるという所まででなく、小百合さんを独りにしないという所まで叶えてくれたのではないでしょうか。

アフターケアも欠かさない神様の鑑

 

かわいいは正義

答えは出た感じですがもう一つ面白い説があります。

作中では実際に天使となった美琴ちゃんの対比として可愛い子などに対して「天使」という言葉を使うシーンが多々あります。

実際、美琴ちゃんは可愛いという意味でも天使でしたね。

男鹿くんは特に可愛いものに目がありませんでしたから天使美琴ちゃんの羽が見えたという説です。

メチャクチャな理論?いえいえこれが結構真面目な説なんですよ。

それは次の考察につながります。

 

天使とは

小百合さんと男鹿くんにしか見えない美琴ちゃんの羽

ですが作中もう一つ羽が出てきましたよね?

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高校生の時、草薙さんが見た小百合さんの羽です。

でもこれは美琴ちゃんとは違う?草薙さんが見た幻想?

果たしてそうでしょうか。天使の羽がキーとなっていた作品で羽が出てきたことに作為的な何かを感じませんか?

 

美琴ちゃんとかつての小百合さんの共通点

美琴ちゃんは17歳の時に無理して小百合さんに会いに行きましたがそこで倒れてしまいます。それにより美琴ちゃんは植物状態に陥ります。

そして神様にお願いして小百合さんのもとに現れたわけですが、

要は小百合さんの前に現れた美琴ちゃんは思念体のようなものだったのではないでしょうか。

身体は動かないけど「おねえちゃんに会いたい」というその想いが具現化した姿。

極端な話、身体はなく心だけの存在と言えます。

 

一方かつての小百合さんはどうでしょう。

別に植物状態でもなんでもありませんね。いたって健康です。

でも心は?母親は妹だけを溺愛し、父親にも捨てられたと思っている。

誰も私を見ていない、必要としてない。

そうやって心を閉ざしていました。

これってつまりは、心が無く身体だけの存在と言えるのでは?

 

美琴ちゃんとかつての小百合さんは心か身体が欠けていて不安定

だから神様が手を差し伸べていた状態、それが天使の羽なのではないでしょうか。

 

なぜ羽が見える?

一つ目の考察に戻ってしまうようですが少し違います。

羽が見えている人物とその対象は以下の通りです。

・小百合さん→美琴ちゃんの羽

・男鹿くん →美琴ちゃんの羽

・草薙さん →かつての小百合さんの羽

最初に私は「愛」が羽の見える要因だと考えました。これにより男鹿×美琴カプも考えました。

しかしこれでは多くの人から愛されていた美琴ちゃんの羽はその多くの人から見えてしまいますし、

写真にも羽が写るので小百合さんの昔の写真を見た美琴ちゃんに小百合さんの羽が見えていないのは不可思議です。

そこで出てくるのがこの物語のもう一つのキーとなる

「マーガレット」です。

 

マーガレットの花言葉は“心に秘めた愛”

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17歳の美琴ちゃんが小百合さんに会いに行こうと思ったキッカケの写真の背景に写っていたマーガレット

小百合さんと美琴ちゃんの思い出の花であり物語の重要なキーです。

端的に申し上げて羽を見ることができる条件は

1.大前提として対象が羽を持っていること

2.その対象に心に秘めた愛があること

この二つです。1については前述の通りです。

 

そして2ですがまずは小百合さんからです。

小百合さんは美琴ちゃんを愛しています。1話で妹を思い出したり、ふと思い出の公園に行ったり、少なくとも嫉妬の対象でないことはわかりますし

極めつけはこれですね

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やっぱりな♀

もう完全に妹LOVEですね。

でも「姉妹だから」「女同士だから」と何かとその想いを押さえ付けています。まさに「心に秘めた愛」

 

続いて草薙さんです。

元々草薙さんは小百合さんに憧れていましたがそれは単なる憧れでしかありませんでしたね。

孤独を恥としない小百合さんのようになりたいと思っているだけでした。

でもあの時、カメラマンになる夢を後押しされた時に初めてそれが愛に変わったのです。

当たり前ですが友達と呼べる人もいない、親には将来の夢も話せない彼女がその愛を秘めていなかったという方がおかしな話です。

つまりこれも「心に秘めた愛」です。

 

おまたせしました男鹿くんです。

かわいいは正義」の項の答え合わせです。

男鹿くんが愛していたのは美琴ちゃんではなく正確にはその可愛さでした。

可愛いものに目がないという描写は作中に何度も見られましたね。

しかし男鹿くんはそれを隠していました。

女っぽい可愛いものは自分には似合わない。そういうものが好きな自分は望まれていないんだと。

だから男鹿くんにとっては何かに対して「かわいい」と思うこと自体が秘めるべきもの。「心に秘めた愛」だったのです。

(家族や小百合さんには明かしていましたけど、姫子ちゃんに下着を見られた時の反応なんかを見るにやっぱり根っこの部分にはトラウマがあったのではないでしょうか。)

 

最後に昔の小百合さんの写真を見た美琴ちゃんが小百合さんの羽を視認できなかった理由ですが、単純明快

だって心に秘めてないですもん。

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小百合さんのお母さんはクズ?

お父さんに捨てられたと思っていた小百合さんですが、最終話にてお父さんは小百合さんを捨てたわけではない事がわかりましたね。

ではお母さんは?

結論から言ってクズ

考察の余地も無いですねこれは。6話が全てです。

「最近ひとりで暮らしていると寂しいのよね」

と言っておきながら会いたいのは美琴ちゃんだけ

しかも美琴と会う予定を入れさせたのは小百合さんの誕生日でした。

・小百合さんの誕生日より美琴ちゃん。

・そもそも小百合さんの誕生日を知らない。

どちらにせよ酷い母親です。

結局6話以降出てきませんし、最終話で父親は

「お母さんとすれ違うようになって」

とは言ったもののお母さんのフォローはしていません。

夫と娘も認めるクズ、はっきりわかんだね。

 

1話の小百合さんの友達

終始孤独感を漂わせていた小百合さんですが1話に友達らしき女性がいます。

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ファミレスで「小百合さー」と言う彼女

互いにタメ語であることから少なくとも先輩後輩とかでは無いと思われます。

よくあるいわゆる上辺だけの関係ってのもあり得そうですが、二人っきりなのがどうも引っ掛かりますし、小百合さんがそんな関係作るでしょうか。

彼氏について聞いてるから小百合さんの元カノという説もありません。

登場したのはこのコマだけですから何とも言えませんが、

髪型と草薙さんの回想的に高校時代ではない。

かつ様々な騒動がありながら最終話まで連絡を取るようなそぶりもないことから現在の友達である可能性もほぼ無し

つまりは大学生時代の友人でそこそこ仲は良かったけど卒業後に疎遠になっちゃった的なよくあるアレってことでしょう。

 

目次まで作ってこの始末…

 

男鹿くんは小百合さんをどう思ってるの?

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2話でこんなフラグを建ててたのに音沙汰無いんですが…

「小百合さんもかわいいですよ」

「じゃあ女の人ならいいんですか!?」etc…

これだけ小百合さんの事が好きって伏線貼ってたのに最終話までそれについて何があるというわけでもありませんでした。

まぁ男鹿くんの事ですから美琴ちゃんの気持ちを察して身を引いたのでしょうけど…

7話で小百合さんの誕生日にカフェに誘っていましたがこれは女友達としてもあることでしょうし…

 

何ぶん描写がここしか無いので詳しい事は言えませんが、少なくとも1巻の時点では小百合さんの事が恋愛対象として好きだったと思われます。

 

作中における淑女たち

もう考察することも無いので、ついでに作中の淑女たちをまとめておきます。

淑女とは何か、それは皆さんの胸の中に聞いて下さい。

 

・小百合さん&男鹿くん

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おまいら…

小百合さんに至っては草薙さんにジェラシー抱いてたのにいざ妄想したら興奮してる辺り結構レベル高いですよ。

 

・クラスの女子(一部)

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「百合よっ」「百合だわっ」

共学校で姫子のクラスに少なくとも3人淑女がいるってこの学校レベル高くない?

美琴×姫子シーンでちょっと私も悶えてしまいましたよ、ええ。

最高かよ。

 

・大学の女子

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「バスケサークルの男鹿くんと部長って…」「うそーまじで?!」

楽しそうこの子ら。

でも紳士な私は噂をしてる君たち2人で更なる百合を…ゲフンゲフン

 

・旅館の仲居さん

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「おじゃまでしたか…」

ちょっと焦ってるだけな気もするけどこの仲居さんはきっと淑女です。

 

 

最後に

「小百合さんの妹は天使」1日で読破して昨日の今日でこの記事を書いてしまいました…

故に拙い部分も色々あったかと思いますがどうかご慈悲を。

どうせ見るのは自分と同じ百合厨だけだろうと思って趣味全開で書いてしまいましたが、ご不快でなかったでしょうか。

普段漫画を買うような人間ではないので今後こういう考察記事を書くことがあるかはわかりませんが、またどこかでお会い出来たらうれしいです。

 

また、作者の伊藤ハチさん。このような素晴らしい作品を生み出して頂きありがとうございました。

 

百合を愛するすべての紳士淑女のみな様に幸福あらんことを。